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想いと言葉

2012年4月17日 22:10

独立開業をしてから,人前で話をする機会が多くなりました。

4月9日のブログにて報告させていただきましたとおり,

練馬区委託事業の「子ども安全学習講座」にて,講師としてインターネットトラブルとその対策についてお話をさせていただきました。

 

その数日後,とだわらび倫理法人会経営者モーニングセミナーにて,講話をさせていただきました。

参加者は,50代~70代の経営者の方々です。人生の先輩方を前に,若輩者の私がお話をするなんて恐れ多いことでした。

時間は約40分です。今まで10分程度の話しかしたことがありませんでしたので,40分も話が持つだろうかとプレッシャーを感じていました。法廷よりも緊張しました。

とりあえず身の上話をしました。司法試験に受かるまでの紆余曲折,弁護士という仕事がドラマのように格好のよいものではないことなどなど・・・・。

しかしながら,うまくまとまりませんでした。身の上話などしたことがなかったので,何だか自分自身も熱くなってしまい,当初の予定とは違って想ったことをとりとめもなく話してしましました。

気がついたらリミットの時間になっていました。

 

「ふう,やれやれ。何とか40分乗り切ったが,想いに任せてまとまらない話をしてしまったな・・・・。」

と反省していたところ,ある参加者の方から,「うん,打合せをしよう。」と声をかけられました。

私が大変お世話になっている方です。私の話が拙かったため,お叱りを受けるのかと思いました。

 

打合せの内容は,別の講演会で講話をしてほしいという内容でした。

驚きました。まとまらない拙い講話だったはずです。

思い返してみると,事前に用意していた原稿など無視して,想ったことを一所懸命話したことがよかったのかもしれません。

 

人に伝わるのは,小手先の理屈よりも,真摯な想いなのかもしれません。

 

私は弁護士ですので,法律相談では法的なアドバイスをします。

しかしながら,相談者の望むような答えばかりではありません。

法的解決が難しいケースも少なくありません。

そんなとき,相談者の方の悩みや苦しみに共感し想ったことを伝えると,

法的解決が困難であるにもかかわらず,「相談して良かったです。」と御礼の言葉を頂きます。

 

私自身は「お力になれず申し訳ない」と感じているので,驚きます。

 

弁護士は法的に紛争を解決する仕事です。

しかしながら,法的な話だけでは人の心に届かないのかもしれません。

本当に必要なのは,法的知識だけではなく,相談者の方の気持ちを想うことなのかもしれません。

 

言葉がなければ想いは伝わりません。

想いがなければ言葉は消えてしまいます。

 

相談者の方の悩みや苦しみで乾いてしまった心を,

「想いと言葉」で少しでも潤せるような弁護士を目ざしたい,そう想います。

 

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埼玉県さいたま市南区の弁護士事務所

武蔵浦和法律事務所 峯岸孝浩